以下のレシピ集は、あくまで「いつき風」ということにしておいて下さい。知りあいの在日朝鮮人の方に聞いて「違う」と言われたら、そちらの方を参考にするなり、あなたのお好みの方を信じるなり、適当に対処してください。なお、いつき的に「これぞ!」と思うところは、赤にしておきます。
あと、すべて「量」は書いていません。基準になる量は、ないことはないのですが、みなさん結局目分量でやっておられるみたいなので、あてになりません。
チヂミは、韓国・朝鮮の「ベタ焼き」と考えてもらえればいいかと思います。お店では、竹の平たいザルの上にのせて売っています。安いもので、1枚300円程度かな。もちろん、具によって値段はぜんぜん違います。ここで紹介するものは、最もオーソドックスなニラとにんじんの入ったものです。
材 料 小麦粉・卵・ニラ・プッコチ(青唐辛子)・にんじん・ダシ(粉のものでOK)・しょうゆ(味噌でもOK)・ごま油 つくりかた 1、ニラは4〜5cmに切ります。にんじんも、4〜5cmの千切りにします。
ボールに入れて、ちょっとしょうゆをして、もんで味をなじませます。
プッコチは、できるだけ小さくみじん切りにします。2、小麦粉に、卵・ダシを入れ、じょじょに水を加えながら、混ぜ合わせます。
固さは、だいたい「広島焼き」のタネぐらい(すくってたらすと、つーという感じ)です。3、しょうゆ(味噌)を入れ、ちょっと味見をします。好みの味(これがわかりませんよね!)になるように。 4、ここに1の野菜を入れます。これで、タネのできあがり。 5、ごま油をたっぷりひいた鉄板に、タネをうすく広げます。直径は、約25cmぐらいかな。
片面が焼けたら、ひっくり返して、ぎゅうぎゅうと押さえます(ここがお好み焼きとの大きな違い!)。
ヘリの方が、ごま油で揚げたような感じになれば、成功です!
これは、プロがつくったチヂミを
みんなで食べている途中のものです。
この後、すぐなくなりました。
チヂミに入れる具については、いろいろなものがあります。たとえば、細かく切った「ロールイカ」とか、「ホッペ(たしか牛の顔の肉だったと思います)」とか、ちょっと豪勢なところでは「ぐじ(これは京都の言い方ですね。甘鯛のことです)」を入れることもあります。とくに「ぐじ」の時は、ぐじを鉄板の上に置いて、そこに小麦粉と卵と水を混ぜたものをたらしながら焼くという感じでしょうか。
「サムゲタン」は、とっても高級な宮廷料理です。また、材料でもわかるように、薬膳料理でもあります。でも、自分でつくろうと思えば、意外と簡単にできます。とくに、ダッチオーブンを使えば、火にかければ、後は放っておくだけでつくってくれます。
気にしなければならないのは、材料でしょうか…。とくに、朝鮮人参は何とかして手に入れたいものです。
材 料 鳥の中抜き(丸ごとの鳥で、内臓を抜いたもの)・もち米・ニンニク・朝鮮人参・ナツメ・塩・コショウ つくりかた 1、もち米は1時間ほど水につけ、ザルにあげておきます。 2、鳥の中抜きにもち米、ニンニク、朝鮮人参、ナツメを入れ、お尻をタコ糸で縛ります。 3、ダッチオーブン、または圧力鍋に入れ、水を鳥がほぼかぶるぐらいまで入れます。 4、そのまま1時間〜2時間弱火で煮ます。 5、できあがったら、塩コショウで味を調えます。
出来上がりの風景 みんなに取りわける。
きれいなスープでしょう!あっと言う間に、
骨だけになりました!
自分だけの力では、どうしても朝鮮人参が手に入らない場合は、次のような方法があります。
在日朝鮮人の方がやっておられる居酒屋(これがまた、意外と多いし、味がいい!)に行くと、たまに朝鮮人参を使った料理があります。何回か通って、お友だちになってわけてもらうという手もあります。どうしても手に入らない場合は、粉末やエキスのものがありますので、それを使うのもいいかと思います。
また、中抜きが手に入りにくい場合は、「骨付きのもも肉」とか、「手羽元」、「手羽先」などを使っても、同じようにできます。
「サムゲタン」は肉を食べるだけではなく、そのスープがごちそうです。一滴残らずすすってしまいたいものですが、どうしても食べきれない場合は、スープをとっておいて、後で「ラーメン」をつくるなり、「クッパ」にするなり、「ワカメスープ」にするなりなんにでも使うことができます。
本来、「チゲ」というのは、朝鮮語で「鍋」という意味です。ですから、よく「チゲ鍋」と書いてあることがありますが、あれは「鍋鍋」になってしまいます。ちょうど「Mt.Fujisan」とか「Kamogawa river」という感じですね。
日本で「鍋」と言えば、基本的になにを入れてもいいように、「チゲ」でもなにを入れてもいいのですが、やはりここは一番オーソドックスな「キムチチゲ」を紹介しましょう。
材 料 白菜・春菊・白ネギなどいかにも鍋に入れるぞ!という野菜
シイタケ・エノキ・シメジなどいかにも鍋に入れるぞ!というきのこ、
しらたき・豆腐などいかにも鍋に入れるぞ!というその他のもの、
ペチュ(白菜)キムチ(できれば、ちょっと酸っぱくなったもの)、テッチャン、ミノつくりかた 1、野菜は、いかにも鍋に入れるぞ!という大きさに切ります。 2、きのこもいかにも鍋に入れるぞ!という大きさに切ります。 3、その他のものも、いかにも鍋に入れるぞ!という大きさに切ります。 4、キムチも、いかにも鍋に入れるぞ!という大きさに切ります。ただし、このとき汁を捨てないように! 5、テッチャンは油が嫌いな人は、包丁などでちょっと油をそぎます。 6、大きな鍋を用意し、野菜・キノコ・その他のものを入れ、キムチさらにテッチャン・ミノをその上に置きます(注意!水は入れない)。 7、ふたをしてしばらく炊きます。野菜が「くたっ」として、テッチャンまで火がはいればできあがり!
豪快に盛り上がった具 鍋ができるのを待つのが、
また楽しいひとときですね。
野菜や豆腐などから出る水分と、キムチの持っているダシだけで、充分にたけます。水を入れると、逆に水っぽくなってしまい、おいしくありません。ですから「こげるんじゃない?」などと不安がらずに、断固として材料だけで煮てください。ただし、必要な水分を飛ばしてしまわないためと、(おそらく)材料を適度に蒸すために、ふたはしておくようにしましょう。
肉に凝る場合は、カルビなどの赤い肉を入れるのもおいしいかもしれません。しかし、在日朝鮮人の人たちと話していると「赤い肉は、すぐにあきてしまうなぁ?やっぱ、わしらは白い肉の方がいいなぁ」とのことでした。わたしも、実は白い肉(テッチャン・ミノ・センマイなど、とくに「赤テッチャン」は絶品!)のほうが好きなんですよね。これは、焼肉をしたとき、より顕著になります。赤い肉は、しつこすぎるんですよね。
「そうめんのどこが韓国・朝鮮料理やねん!」という声が飛んできそうですね。
一般的には、「氷をはったつめたーい水の中に浮かぶそうめん」「ネギ、青ジソ、きざみノリ、おろしショウガなどの薬味」「そうめんつゆ」というとりあわせになりますね。でも、在日朝鮮人の人たちは、なんでも朝鮮料理にしてしまうんですね。で、またそれがおいしい!
では、そのレシピを…。
材 料 そうめん、だし、ネギ、ごま油
ヤンニンの材料(ショウガ、ニンニク、リンゴ、タマネギ、アミじゃこ、大根の絞り汁、みりん、唐辛子、すりごま、ダシ昆布)つくりかた 1、ヤンニンをつくります。
・ダシ昆布でダシをとります。
・ダシにショウガ、ニンニク、リンゴ、タマネギ、アミじゃこ、大根の絞り汁を加え、ミキサーにかけます。
・そこへみりんと唐辛子、すりごまを入れます。
・以上で、一応できあがり!2、そうめんをゆがきます。水洗いはごしごしとしっかりと。 3、たっぷりのダシをお椀にはり、そうめんを入れます。 4、先ほどつくったヤンニンに少量のごま油ときざみネギを混ぜます。 5、そうめんの上にCをのせて、できあがり!
ごめんなさい!写真がないの…。
ヤンニンは、簡単にいえば「キムチの素」です。もっとも、「桃屋のキムチの素」とはぜんぜん違います。
白菜のへたの方に4つの切れ目を入れ、一晩塩をします。で、次の日、白菜を水洗いして、白菜の葉一枚一枚に、ていねいにヤンニンをすりこんでいけば、とりあえずキムチができます。
ヤンニンのつくりかたは、つくる人の数だけあります。ですから、このつくりかたが絶対というわけではありません。というより、前に習ったものを大雑把に書いただけなので、ぬけているところがたくさんあるかも…。
「イカフェ」というか、ここではどちらかというと、「春菊のサラダイカ刺しのせ」という感じです。
普通春菊は火を入れて食べるものと思われがちですね。たとえば、鍋に入れるとか、おしたしにするとか、ちょっと変わったところでは、ナムルにするという手もありますね。
でも、韓国・朝鮮料理では春菊を生のままで食べてしまうこともあります。実は、あの春菊の独特の苦みと香りが一番味わえるのは、この食べ方です。で、「それだけではな〜」ということでイカの刺身をのっけてみました。すると、料理のタイトルが変わってしまったというのが本当のところです。
材 料 春菊、イカの刺身
チョジャンの材料(コチュジャン大さじ6、みそ大さじ1、酢大さじ5、砂糖小さじ1、おろしニンニク少々)つくりかた 1、チョジャンをつくります。
・コチュジャン大さじ6、みそ大さじ1、酢大さじ5、砂糖小さじ1、おろしニンニク少々を混ぜます。2、春菊を洗って、適当な大きさに切ります。 3、イカの刺身を適当な大きさに切ります。 4、春菊とイカを混ぜて、チョジャンをかけて、あえてできあがり!
ごめんなさい、これも写真がないの…。
「フェ」というのは、「刺身」のことです。ほかにも、いろいろな「フェ」があります。
たとえば、鯉の刺身もおいしいですね。特に夏場はスタミナ回復にいいのではないでしょうか。たっぷりのキャベツの千切りの上に、鯉の刺身をたっぷりのせます。さらに、「アラ」は骨ごとミンチにしてもらって食べます。
「フェ」は魚だけではありません。ちょっと変わったところでは、「子ぶくろ(豚の子宮)のフェ」などというのもあります。京都でこれを食べたければ、東九条にある「水月亭」に行ってみてください。
さて、「刺身にはしょうゆ」というのが日本料理の定番ですが、たとえば「酢味噌」をかける場合もあります。「チョジャン」をかけるのは、ちょうどそれと同じですが、韓国・朝鮮料理では、こちらの方が定番になっています。
ちなみに「ジャン」は「醤」すなわち、たれのことです。「チョジャン」は、韓国・朝鮮料理では最もポピュラーな「ジャン」で、さまざまな料理に応用することのできるものです。つくるためには「コチュジャン」が必要ですが、これは、簡単にいうと「唐辛子を水飴で練ったもの」です。最近では、スーパーのエスニックコーナーにおいてあることもあります。一度つくってみられてはいかがでしょうか?
朝鮮料理にかかせないのがキムチ!お店で買うと、なぜか何を買っても一袋500円というのが不思議です。いったいぜんたい、コストはどれくらいかかるのか。労力はどれくらいかかるのか。
実は、けっこう簡単につくれるのがキムチ。でも、奥が深いのがキムチ。
ということで、やっぱり一度自分でつくってみないとね!
材 料 白菜5玉に対して
にんにく(2.5房)・ニンジン(半分)・大根(半分)
ニラ(1羽)・なし(1玉)・しょうが(ひとかけ)
アミ250g・砂糖(ひとにぎり)
荒びき唐辛子(350g)・細びき唐辛子(500g)
塩(塩漬け用)つくりかた 1、 白菜は、前の日に塩漬けにする。根元の方を四つに切り、根元の方に多めに塩をする。当日の朝、塩を洗い流し、ザルにあげ、水を切っておく。 2、 ニンニクはすりおろす。ニンジン・大根・なしは千切りにする。ニラは4cm程度に切る。材料を混ぜあわせ、タネをつくる。
↓混ぜる前のもの ↓山のような唐辛子! しっかりまぜたらできあがり 3、 白菜の根元の方にタネをすりつけるようにし、丁寧に葉の間にはさんでいく。一番外側の葉を白菜の外に巻きつけて、順々に樽においてできあがり。
ていねいにやるの、めんどくさいです できあがり!
朝鮮料理といえば真っ先に出てくるのが焼肉!
たしかに、おいしい食材店で買うのもいいですが、在日の人たちは、やっぱり自分でつくります。
自分でつくったら、甘くするのも辛くするのも自由自在。大人ばかりの時バージョンと、子どもがいる時バージョンというふうにつくりわけることもできます。さらに、きちんとつくると防腐剤なんか入れなくても冷蔵庫で何年も持ちます。
ということで、チャレンジ!
材 料 肉25kg〜30kgにたいして
タマネギ(5個)・ニンニク(10房)・りんご(5つ)
しょうゆ(3L)・みりん(1L)・酒(5合)
だしの素(5袋)・さとう(1.5kg)・コチジャン(大2パック)
つくりかた 1、 ニンニク、タマネギ、リンゴは小さく切ってミキサーにかける。その時の水分は、酒やしょうゆなど。絶対に「水」は入れない!
ニンニクの皮むきが一番大変! 2、 沸騰するまで、5分ごとぐらいにかきまぜる。
沸騰したら、吹きこぼれないぐらいの火に弱める。
「ポコポコ」という感じで30分ぐらい煮込む。
けっこう時間がかかります
ポイント! 保存はきちんと水を切った容器ですること。 熱いと甘さが下がり、辛さが上がる。冷めると甘さがあがり、辛さが下がる。味の基準は冷めたとき。 牛肉以外にもカシワ・豚・いかなど何でも使える。