名の変更あれこれ


、どうやって変更するか

 とりあえず、家庭裁判所に申し立てをするところからスタートします。

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、申立書のゲット

 家庭裁判所に行ってもらうこともできますが、電車で1時間もかかるところに行くのは、勤め人には至難の業です。ということで、なんとfaxをつかって申し立てがゲットできるんですね。
 まずは、京都家庭裁判所のfax番号075-721-2115に電話します。で、聞こえてくるテープの指示にしたがって、コード番号0739を押します(もちろんプッシュホン←死語・笑)。未成年の場合は、0740です。すると、faxで申立書と記入例の紙が出てきます。もしも感熱紙でプリントアウトされた場合は、いわゆるコピーをして下さいという但し書きがついています。
 一説によると、pdfで公開されているということですが、見つかりませんでした。

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、家庭裁判所への申し立て

 わたしは、2004年1月29日に家裁に行って来ました。
 京都家庭裁判所の場合、必要なものは次のものでした。
(1)「名の変更許可申立書」と「申し立ての主旨・申し立ての実情」の紙
(2)診断書
(3)80円切手17枚
 「名の変更許可申立書」には、800円の収入印紙が必要になります。わたしの場合は、600円とまちがえていたので、あせりました。また、80円切手は一説によると2枚でいいとか8枚いるところもあるとかあったので、念のために10枚用意したのですが、京都の場合なんと17枚も必要なそうです。いったいなんのためにこれだけ差があるのかは謎です。
 これらについては、電話で問い合わせたら教えてもらえるそうです。わたしの場合は、めんどくさいのでネットで調べただけだったのが敗因のようです。
 なお、これら以外の「実績」については、あとで呼び出された時に必要なだけで、申し立てする時には必要ないようです。重たい思いをしてわたしの名前が載っている本とかを持っていって損をしました。また、診断書については、原本を渡したくなければコピーをしてもらえます。ただし、あとで呼び出しをうけた時に原本を持っていく必要があります。
 申し立ての時は、書類の不備がないかどうかだけを確認されて、すぐ終わります。
 なお、京都家庭裁判所の営業時間(笑)は、土日・祝日を除く8:45〜17:00です。どうやら、17:00ギリギリに飛び込んでも、間にあいさえすれば受けつけてくれそうです。
 時間としては、すべてきっちりそろっていれば、10分ほどで終わります。わたしの場合は、収入印紙と切手が足りなかったので、買いに行く必要があったのですが、家庭裁判所の斜向かいにある「藪蕎麦」という店が提携しているようで、ここに買いに行くように紹介されました。ちなみに、藪蕎麦のおそば、食べたいという感じのしない店でしたが(ダシの香りはよかったですが、客がいない)、どなたか食べられた方、情報お願いします。

 わたしの書いた「申し立ての実情」の中の「名の変更を必要とする具体的な事情」の内容は、以下の通りです。ちなみにこれ、家裁に行く間の電車の中でLOOXでつくったものを、家裁に着いてから清書(濁書・笑)しました。めっちゃ汚い字でした。しかも、1枚に書ききれなかったので、2枚にわたりました(たまたま2枚コピーしてあった)。読む人気の毒だなぁと。でも、受付の人、(続く)とか(続き)とか、都合3枚の紙のフッダのところを1/3,2/3,3/3と書き直してくれたりしていました。


 小さい頃より、自己の性別への違和感があった。しかし、当時はそれを表現する方法などなく、しかたなしに書類上の性別の名前を引き受け、育った。しかし、名前への違和感は漠然と持ち続けていた。
 やがて、1997年にセクシュアリティの知識を獲得する中で、自分がトランスジェンダー・性同一性障害であることを知り、1999年頃より、女性へのトランジションを開始した。そして、2001年4月20日より、O県立O病院に外来通院をはじめた。また、2001年9月14日より、脱毛を開始した。2004年1月29日より、第2段階以降の治療(ホルモン治療・性別適合手術)をガイドラインに沿って行うため、◯◯病院に通院をはじめた。
 現在は、書類上・肉体上の性別を知らない人たちの間においては、ほぼ女性としての生活をしている。また、書類上・肉体上の性別を知っている人たちに対しても、カムアウトをしている。職場など書類上の名前での生活が必要とされる時以外は、「いつき」という名前で生活をしている。また、トランスジェンダー・性同一性障害や多様なセクシュアリティへの理解を深めるための講演・本の執筆もしており、ここでも「いつき」という名前を使っている。
 このような状況で、書類上の名前である「◯◯◯」と「いつき」の二つの名前を使いわけるのはとても面倒で苦痛である。また、外見上の性別と「◯◯◯」という名前からイメージされる性別が食い違うため、書類上の性別を知らない人に混乱を招き、そのことも日常生活上苦痛である。
 家族については、パートナー子どもともに理解を示してくれ、改名をすすめてくれている。


 一部、「ほんまかいな」というところもありますねぇ(笑)。「ほぼ女性として」ってなんだっていうと、女性用のトイレに入っているくらいしか思いつかない(爆)。つーか、「いつき」として認識している人たちにとっては、どうもわたしの性は「だいたい女性かもしれないけど、どちらかというと『いつき』という性」のようですね。これってありがちなパターンだけど、正しいかも。

 あと、「苦痛である」などと、いかにも「お助けを〜」みたいなところがあるのも気にくわないです。だって、混乱を楽しんでいる節もありますからね。でも、まぁ、ウソも方便というところでしょうか。家裁の人、ここ見ないだろうなぁ(笑)。
 あと、備考みたいな欄もあります。ここには、「いついつまでに改名したい」みたいなことを書く欄のようです。わたしはここには


 子どもがそれぞれ小学校・中学校に入学するので、保護者欄に新しい名前を書きたい。したがって、3月中旬、できれば2月中に改名したい。


と書きました。もっとも、それだけ急ぐなら、もっと前に申し立てしろよなというところですが、そうはいかないこともあるわけですわ。ちなみに、「2月中」というのは、3月9日がわたしの誕生日で、免許の書き換えがあるからなんですけど、あえて「◯◯◯」で書き換えて混乱を招いて楽しむというのもありかなぁと思ったりもしています。でも、これって、1月28日の日記と矛盾するかと。

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、審判の通知が来ました

 2月2日(だったと思う)、家に帰ったら、家裁からの呼び出しの通知が来ていました。で、日付を見ると、どうしてもはずせない授業の入っている日やんかぁ〜!どないしよ…。
 だれか、日付の変更をしてもらった人っているのかなぁ。あまり聞かないし。でも、なんかとても受動的というか、なんというか、そーゆーの、イヤだなぁ。
 ちなみに、内容はこんなんでした。

上記申立人の名の変更許可申し立て事件について
平成16年2月◯◯日午後15時30分
当裁判所家事書記官室においでください。
(注)
1 必ず認め印を持参して下さい。
2 おいでになったら本書を家事書記官室受付係にお出しください。
3 この申立の法定代理人が両親の場合は、揃ってお越しください。
持参資料
1 同姓同名者の存在を理由とするときは、…
2 神官、僧侶となった(やめた)ことを理由とする時は、…
3 通称として長年使用したことを理由とする時は、…

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、家庭裁判所に行きました

 「なんでややこしい時間に」と思いながら、しゃーないので仕事の方は算段をつけて行きました。で、かなりギリギリの時間だったにもかかわらず、そういえば「呼び出し」の紙も中島さんの診断書もコピーをとっていないことに気づきました。もしも向こうに渡ってしまったら、永遠に返ってきません。そういうのは、前の免許の更新の時に経験していてこりごりなので、急遽近くのコンビニに寄ってコピーをとりました。
 家庭裁判所に着いたのが、15時25分頃だったでしょうか。指定された場所に行くと、家事第2審判廷に行くように言われました。そこにおられたのは、書記官(たぶん)。まず、「書記官(たぶん)の◯◯です」と名のられて、話がはじまりました。
 そこで聞かれたのは、主として使用実績でした。だいたいこんな感じでした。なお、Aについては、「」の中が実際に答えただいたいの内容。あとは、コメントです。

現在「いつき」という名前をどの程度使っているか?
「職場以外では、ほとんどいつきの名前を使っている」と答えました。でも、2割くらいはウソ(笑)。
そのことを証明するものは?
「これとこれとこれと…」といって出したのは、『トランスジェンダリズム宣言』『セクシュアルマイノリティ』部落解放の別冊『部落解放・人権入門2004』。あと、近畿大学の人権講演会の表紙あたりですか。それぞれの著者紹介が必要だったようです。これらはコピーがとってあったのであげました。
いつ頃から使っているか?
「コミュニティ内部では1999年頃から使っていました」と答えました。
それを証明するようなものは?
「主としてメールを使っていたのでありませんが、これなら」と言って出したのは、さくらインターネットから来たはじめての請求のメールです。たしかこのときがはじめての「名前の詐称」でした。そこで、請求メールを探してプリントアウトしておきました。日付は1999年3月◯日でした。しかし、「いつき」と名のりはじめた頃に「いつき」あてに手紙が来るわけないじゃん!
「樹」はなんと読ませていたのか?
「『いつき』です」。あ、わたしはもともと「樹」という字を使っていたんです。webサイトももともとは「樹(いつき)のホームページ」でした。
「そのころ」と「いま」の間を埋めるものは?
「これです」と言って出したのは、『ぽこあぽこ15号 性別というもの、こと(上巻)』(笑)です。おそらくはじめて「いつき」というひらがなの名前で書いたものです。最初が漢字だったのに、今回の申し立てがひらがなだったので「ん?」という感じでしたが、2000年の時点でひらがなになっているのは、なかなかヒットだったかなぁという感じでした。
それ以外は?
「時期的に同じものであればたくさんありますが…」
時期の違うものは?
「ほとんどありません」。んなもん、封筒はほとんど捨ててるし、あったとしてもどこに行ったかわかるわけありません。
なぜ「いつき」という名前を選んだのか?
「子どもにつけようと思っていたけど、つけなかった名前です」。
もしも許可が出た場合、自分の欄の名前だけではなく、子どもの保護者欄も変わるわけだが、了解しているか?
「もちろん了解しています」。

 ここまでが、だいたい10分。
 「あまり長くなるのもなんなので」と言われて、おしまいです。資料として、先ほどの4冊の本を預かられて「外で待っていてください」と言われました。
 外に出て廊下の長いすで待っていると、「寒いから、中で待ったらいいですよ」と言われました。「いや、大丈夫です」と言っても、「どうぞどうぞ、寒いから」って。優しいなぁ。たぶん、鼻をかんでいるところを見られたので、風邪を引いていると思われたのかな。結局、お言葉に甘えて、審判廷の中で待たせてもらいました。しかし、暑いって、この部屋。

 本を持って行っていたのですが、あまり頭に入らないので、読むのは断念しました。で、あとできることは、寝ることかなぁということだったんですが、どうも姿勢が定まらない。できれば椅子をくっつけて寝たかったのですが、「女らしくねぇ〜(笑)」ということで、これも断念。で、しゃーないので、靴を脱いでひざを抱えて寝ることにしました。
 と、その時、審判廷にさきほどの書記官(たぶん)の人と裁判官が入ってこられました。結局30分ほど待ったことになります。「こちらへ」。って言われても、靴はいてない。「すみません、ちょっと靴を」とか言いながら、机のところへ。
 以下、緊迫(笑)の「6、なんでやねん(笑)」に続く。

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、なんでやねん(笑)

 裁判官は「不便をされているお気持ちはよくわかります」としたうえで『セクシュアルマイノリティ』の著者紹介の「/」を指して「これはどういうことですか」と聞かれました。で、「いつきは『本名』ではありません。でも、『いつき』という名前でやってきたことがあります。一方、学校の教員として、解放教育にかかわるものとして◯◯(もうバレてるんやけどなぁ・わたしの名字)という名前でやってきたこともあります。これらをトータルにあらわす手段として、『/』をつけました」と答えました。ま、これはいつでも人前で話する時に使っているネタです。
 裁判官の方は、「こういう事例で来られる方はなかなかおられなくてわからないし、結婚しておられる場合、まだまだ(申し立てをされるのは)珍しいですね」と言わました。それに対しては「大阪で(ry」と言っておきました。
 結局、その部屋に入って、5分しないうちに「許可します」という言葉が裁判官から出てきました。その時、自分の中の言葉は、正直言って「へ?」という感じでした。あまりにもあっけなかったです。

 そのあと、書記官(たぶん)の人が、「今日、書類ができるかもしれませんが、できないかもしれません。時間は?」と言われるので、「どっちでもいいですよ」と言いました。すると、「じゃあ、事務作業の状況次第で」と言われるので「それでけっこうです」と言いました。しばらくして「今日、書類ができます」とのこと。結局許可書をもらってしまいました。
 内容は、以下の通りです。
 上記申立人からの名の変更許可申立事件について、当裁判所は、その申立てを相当と認め、次のとおり審判する。
主   文
 申立人の名を「いつき」に変更することを許可する。
 なんと、申し立てをした1月29日から2週間。1回の面接でOK。ええんでしょうか。
 そうそう、使った切手が1枚なので、残りは返ってきました。しかし、なんのためにあんなに枚数が必要なんだろう。つーか、17回も呼び出しがあったらえらいこっちゃ。あと、診断書も申し立てをした時に提出したもの(コピー)だけで、原本は提出を求められませんでした。コピー代、損した。
***
 ふつう、資料として提出を求められるのは「手紙」と言われますね。でも、はじめから改名を考えていなければ、5年前の手紙なんて残しているわけはないです。逆に、改名のために計画的に5年分の手紙を保存しているのもなんだかなぁという気がします。
 わたしの場合、手紙はまったく資料として求められませんでした。そこにはおそらく、「本」というものがかかわっているのではないかと思います。2冊の本の作成にかかわったこと。さらに、2000年の『ぽこあぽこ』に誘ってもらい、文章を載せたこと。これらが結果的に、使用実績になったわけでしょうね。
***
 実は、自分の中で、実はまだまだ揺れがあります。どうせ、裁判所との間でいろいろ問答があるだろうから、それに反抗することで気持ちを高めようと思っていたのですが、そんなんもなし。裁判所に話をしながらゆっくりと考えようと思っていたのに、揺れがとまるヒマもなく結審です。
 つーか、このサイトのネタがなくなりますやん(笑)。そっか、ネタはあとの事務作業か。そんな些末なことに飽き足りない人は、「第2段階への道(笑)」の今後を期待して下さい(あ〜あ)。

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7、役所の手続き

 実は、正確に言うと、わたしの場合は「役場」なんですけど、ここでは一応「役所」ということにしておきます。

 3月11日、ふと思い立って役所に行って改名の手続きをしようと思いました。
 2月にすでに許可が出ていたのに、なぜここまで伸ばしていたかというと、親に説明するのがめんどくさいのと、その機会がなかったからなんですけど、1週間ほど前に「許可が出た」というと、「ふ〜ん」という感じだったので、まぁいいかと思ったわけです。

 11日、役所が閉まるギリギリの時間だったのですが、とりあえず記念にと思い、まずは改名前の住民票と戸籍謄本をとることにしました。あと、近くのコンビニで審判の紙のカラーコピーもとりました。なんでカラーコピーかというと、ハンコがついてあったからです(笑)。ちなみに、審判の紙は、出したら返ってこないので、必要な人は必ずコピーをとるようにと、あちこちのサイトでアドバイスがありますが、その通りです。

 さて、住民票と戸籍謄本をとるための申請書を窓口で出したんですけど、受付の人(ここからはAさん)「あ、ここは名前間違っています」と言うんです。そこを見たら、「受取人」の欄なんですね。「いや、本人です」と言っても「いえ、だからここは受けとられる方の名前で」「いや、本人です」「?」。しばらくして、ようやく納得されたようでした。で、無事に住民票・戸籍謄本を出してもらいました。
 待っている間に、改名するための「名の変更届」という紙を探したのですが、カウンターにはありません。で、Aさんに「あの、改名しようと思うので、用紙を下さい」というと、ここでもまた「?」です。そこで、審判の紙を出して、「これです」と言うと、やっと納得されました。そこで、受付にいたもう一人(ここからはBさん)と「改名らしい」と相談したあと、奥の方に紙をとりに行かれました。その間に、Bさんは、一生懸命本をめくって「名の変更届」の書き方を調べておられます。そうか〜、めったといないというより、たぶんこの人たち、改名する人を見るのはじめてなんだろうなぁと思いながら、待っていました。

 そうこうするうちに、他の受付からもう一人こっちに来られて(Cさん)、審判の紙を珍しそうに見ておられます。で、なにやらブツブツつぶやいておられます。耳をすませて聞いていると、生年月日を見て「あ、もう成人しているんやねぇ」って言っておられます。そら、あたしゃ成人してますわいな。ギャル(爆)には見えんやろ。

 「名の変更届」を見てみると「その他」という欄があり「次の人の父母欄の名を更正してください」とあります。よくわからないので「ここ何を書くんですか?」と聞くと、Cさんが「ここはお子さんのところの…」とか言いはじめます。なんか話が通じていないのでそのまま聞いていると、Aさんが「この人、お兄さん」とか言いはじめます。いやお姉さんなんだけど、と一人心の中でツッコんでいたんですが、これはわたしの聞き間違いで「本人さん」でした。
 ま、それはおいといて。
 Aさんに対して、Cさんは「え?」と聞き返しています。で、Aさんは、「いや、だから、本人さん」。Cさんは、軽く固まりながら、次の言葉を発射。「お母さんと違うの」。おいおい、あたしゃ40すぎの子どもを持っている母親かい。なんぼなんでもそれはないやろ。というツッコミを再び心の中でしていました。

 で、ここまできてようやくCさん、「ようやくわかったわ」。そうやねん、わたしが改名しますねん。子どもの改名とちゃいますねん。

 なんか、改名するのがもったいなくなってきたので、書類を提出するのは、次の日にすることにしました(笑)。

 ということで、12日、ふたたび役所に行きました。
 役所に行くと、昨日と同じAさんがおられて、「あ、来ましたねという感じで迎えてくれました。そこに、Cさんが来られて、「こういうふうに書いて下さい」と、赤ペンで書いたサンプルを持ってこられました。
 どうやら、あれからどう書けばいいかを勉強して、サンプルをつくられたようなんです。おかげさまで、すらすらと書くことができました。特に、「その他」のところにいろいろ書かなくちゃいけないんですね。その他のところには「次の人の父母欄を更正してください」とあります。そこに書いた内容は、以下の通りです。

同籍の長男 ◯◯
同籍の長女 ◯◯
添付書類 名変更許可の審判書謄本
婚姻事項中夫の名を「いつき」と更正されるよう申し出ます。
   妻 ◯◯◯◯ 印

 つまり、子どもから見た親の名前の変更、パートナーから見た婚姻相手の名前の変更(印鑑がいります)も同時にしなくちゃいけないんですね。う〜ん、「戸籍制度のもとでは、名前は自分だけのものではないんだ」ということですねぇ。『トランスジェンダリズム宣言』で、「戸籍制度は、続柄の管理・血統の管理」とありますが、その通りだなぁと思いました。

 あ、ちなみに受付の人はこの欄については「子どもさんの分についてはこちらで書きますよ。妻の分については、申請者のものと別のハンコをお持ちだったらそれでいいですよ」という、きわめていい加減(ちょうどいい)対応をされました。ただ、せっかくですからパートナーに電話をして、「ハンコを押してもいい?」という許可だけは取りましたけど。

 ということで、3月12日付で「いつき」になりました。さて、これからまためんどくさいことがいっぱい待ってるわ…。

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8、職場の手続き

 職場については、前から事務長・教頭・校長に「改名するかもしれない」とは伝えてあったので、意外とスムーズでした。とくに、事務長とは仲がいいので、すごく協力的でした。
 事務作業については、考えてみると、結婚なんかで「姓」が変わるのと基本的には一緒なので、そんなにあわてふためくことはないようです。
 ただ、ややこしいのが、給料などの振り込みの問題です。名前が変わると、それに付随してさまざまなものが変わります。その中核になるのが、銀行口座だったりします。そこで、「何から変えるか」という順番をきちんと考えないと、あとでめんどくさいことになりそうです。事務の人はそのあたりを考えて、銀行口座が変わった時点で、種々の手続きをスタートさせる方法をとられました。

 あと、保険証ですね。これについては、共済にいったん預けて、旧名に二重線を入れて、ハンコをついて、そこに新しい名前を手書きということになります。もちろん、性別欄は変わりません(笑)。ですから、新しい保険証になるまでは、履歴が残ることになります。また、1週間ほど時間が必要でした。

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9、銀行の手続き

 銀行口座については、住民票が必要になります。旧名の上に線が入って、「いつき」になっていたので、そういう履歴の残ったものが必要になるのかもしれません。そうそう、もちろん、通帳をもっていく必要があります。
 銀行についても、名前を変えることはわりとあることですから、きわめて簡単な手続きで変えることができます。ただし、銀行の届出印が必要になります。わたしの場合、20年ほど前につくった口座で、しかも最近の通帳には印影がありません。ですから、どのハンコが届出印だったかを忘れていて、もっていったハンコが違うものだったために、ちょっと時間がかかりました。ただ、ハンコをなくしたなどの理由で届出印を変えることもありますので、わりとポピュラーな手続きです。これも同時に手続きをして、その場で新しい通帳をもらいました。また、カードは後日郵送になりました。

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10、免許証の手続き

 わたしの場合は、ちょうど免許の切替の時期にあたっていましたので、切替にあわせて名前を変えることにしました。
 こちらの方も、本籍のわかる住民票が必要になります。
 免許の更新の受付のときに、「何か変更点は」と聞かれますので、「名前が変わりました」と言えば、どこに何を書くのかを教えてくれます。その通りに書けば、まったく問題ありません。新しい名前で書類を出した次の瞬間から「◯◯いつきさん」と呼ばれるのは、当たり前とはいえ、まったくおどろきでした。もちろん、即日交付ですから、新しい名前の免許証をその日のうちのもらえます。ちなみに、これが現物です(笑)。

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11、キャッシュカードの手続き

 キャッシュカードの会社に電話をすれば、手続きの用紙を送ってくれます。それに必要事項を記入して、カードの磁気テープの部分にハサミを入れたものを同封して送れば、あとは新しいカードを送り返してくれます。ただし、銀行口座を先に変えておく必要があります。

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12、電気の引き落とし

 うちの場合は、関西電力ですが、関電に電話をすれば、手続きのハガキを送ってきます。そこに必要事項を書き込んで、投函すればおしまいです。ただし、銀行口座を先に変えておく必要があります。

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